肛門とは?
肛門は排便をつかさどる器官です。しかし、ただ便を出すためにある穴ではありません。便がお尻の近くまで降りてくれば、便をしたい感じを脳に伝えます。また、おならなのか便なのか、硬い便なのか下痢便なのか、あるいは太い便なのか細い便なのかなど、非常に緻密かつ繊細に情報を感じ取るセンサーも合わせ持っています。その役目を果たすべく、上の図のような解剖になっています。
肛門周辺にできる病気はたくさんありますが、中でも痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(あな痔)が肛門の代表的な病気になり、3大肛門疾患と呼ばれます。
肛門科診察について
肛門科診察では、視診、触診、肛門鏡診察が主な内容になります。
でも、誰もがまず恥ずかしいと思われるでしょう。もちろん、その通りだと思います。特にどんな体勢で診察されるのか?などと考えてしまうと、せっかく受診しようと思っても、二の足を踏んでしまいそうです。
当院の診察では、下記のような姿勢(Abelの体位)で診察を行っています。産婦人科のような両足を上げた姿勢(砕石位)やうつ伏せに胸をベッドにつけ、膝を立ててお尻を突き出すような姿勢(膝胸位)では診察しません。
また、ズボンや下着はお尻の穴が出る程度までおろしていただければ大丈夫です。
下記画像をご参考になさってください。
*受付でも、「肛門科受診に来た(何科を受診に来た)」と声に出さないで済むように配慮しております。ご安心ください。
肛門科診察の流れ
Step1問診
問診票にもとづいて、さらに詳細なお話をお伺いいたします。
Step2診察準備
診察室のカギをしめさせていただきます。その後、カーテン越しに肛門診察の姿勢をご自身で作っていただきます。
Step4診察結果説明
衣服を整えていただいた後、診察内容の説明を行います。
診察結果別治療法
日帰り手術をご希望の患者さまへ
日帰り手術について
忙しいビジネスパーソンの方はもちろん、幼いお子様をお持ちのお母様、介護などで長時間家を空けられない方などでも安心な痔の日帰り手術を行っています。日常生活のリズムを大きく乱すことなく、すみやかに普段の生活に戻ることができるため、入院するまとまった時間が取れない方に最適な治療法です。また、術後はご自宅で過ごせますので、余計なストレスなく安静を保つことが可能です。
日帰り手術とは?
お身体への負担をできるだけ最小限に抑えるだけでなく、効果的に手術を行うことで日帰り手術が可能になっています。早い方でしたら、手術を受けた次の日には日常生活に戻ることが可能です。ただし、日帰り手術を受ける際には、しっかりご理解いただく必要がある重要な注意点があります。日帰り手術は、入院して病院で安静に過ごす代わりに、患者さまがご自宅でしっかり自己管理して過ごす治療方法であるということです。痔の日帰り手術は、1日で完治して全く痛みもないというものではないということを、ご理解いただいた上で手術を行っています。もちろん、術後、ご自宅での過ごし方などについて事前に詳しくご説明しますので、なんでもご相談ください。
医療費を抑えることが可能です
従来の痔の手術は、一般的に約1週間の入院が必要であり、この入院費が医療費の多くを占めていました。日帰り手術ではこの入院費用がかかりませんので、経済的なメリットも大きくなっています。
入院準備が必要ありません
入院の際にはさまざまな準備が必要です。ビジネスの調整、家事の段取り、そして入院生活で必要なものの準備といったわずらわしさや、周囲の方への負担も日帰り手術にはありません。お身体ひとつでクリニックにいらしていただくだけで大丈夫です。
日帰り手術の条件
日帰り手術は、どなたでも受けられる治療法ではありません。次の条件をみたす方が対象となります。
- 日帰り手術可能と判断された方※入院が必要と判断される重篤な方には、専門病院をご紹介しています。
- 術翌日~術後1週間目までの間にご来院可能な方
- 万が一、問題があった時にすぐご来院可能な通院圏内の方 ※近くのホテルに宿泊も可能。
- 当院の理念と治療方針をご理解いただける方
日帰り手術の問題点
日帰り手術を行っているクリニックでは、ホームページにメリットばかり書かれていますが、実際にはデメリットもあります。特に痔の日帰り手術の場合、痛みと出血の問題があります。
痛みに関しては痛み止めを内服しますが、痛みの出方には個人差が大きく、肛門の筋肉がしっかりしている若い方に痛みが強く出る傾向があります。
出血に関しては、大出血が起こって再手術が必要になることはほとんどありませんが、しばらくはある程度の出血が続くとお考えください。
当院では、日帰り手術を「手術に入院は必要としないが、その後自宅で自己管理をしていただくもの」として患者さまにご納得いただいた上で手術をおすすめしています。
当院の麻酔方法
肛門手術の場合、一般的に行われている麻酔方法は、局所麻酔、腰椎麻酔、仙骨硬膜外麻酔の3つがあります。
1.局所麻酔
患部に何ヵ所か直接注射しますので、その際に強い痛みがあります。そのため、通常ですと、眠る点滴と併用して行いますが、筋弛緩が十分得られない可能性があります。
2.腰椎麻酔
腰のあたりから注射する、いわゆる下半身麻酔です。当院では肛門周辺に限局した麻酔を行います。絶大な筋弛緩と鎮痛効果があります。当院での第一選択となります。その代わり術後は排尿と歩行がしっかりできることを確認するまでご帰宅できません。麻酔後2時間はリカバリールームでお休みいただきます。腰椎麻酔の合併症として、針を刺した穴から脳脊髄液が漏れることで起こる、腰椎麻酔後頭痛というものがあります。当院では特殊な針を用いておりますので、ほとんど起こることはありません。
3.仙骨硬膜外麻酔
おしりの割れ目の上方にある骨(仙骨)の穴(仙骨裂孔)から注射を行う方法です。硬膜外腔というスペースに局所麻酔薬を注入しますので、肛門中心に麻酔がかかり、筋弛緩と鎮痛効果が得られます。2時間程度で完全に麻酔の効果が切れるため、日帰り手術に適した麻酔といえます。以前は当院もこの麻酔方法でしたが、妊婦さんの無痛分娩における仙骨硬膜外麻酔での事故が報じられて以来、腰椎麻酔へと変更しております。
手術後の通院について
手術後は、術式にもよりますが、術後約1週間までの間に、まず一度ご来院いただいて、創部のチェックを行います。それ以降は、患者さまの状態に合わせて、外来経過観察となります。なお、完全にキズが治るまでには、約1月半~2か月が目安です。
日帰り手術の流れ
Step1手術前(~前日)
食事 | 特に制限はありません。 |
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排泄 | 前日の夜9時に下剤を内服します。 |
注意事項 | 急な予定変更などで手術が受けられない場合には、ご連絡ください。 |
Step2手術前(当日)
※ジオン注射(ALTA療法)後は、下記と異なります。
食事 | 朝ごはんは召し上がってかまいません。 |
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排泄 | 手術2時間ほど前に座薬を入れ、トイレを済ませておきます。 |
入浴 | シャワーや入浴の制限はありません。 |
お薬 | 普段飲んでいるお薬は内服します。ただし、事前に休薬するように言われたお薬は内服しないでください。 (血がさらさらになる薬や糖尿病の薬などは休薬の必要があります) |
来院方法 | お車、自転車をご自分で運転されてのご来院は避けてください。 |
Step3手術後(当日)
食事 | 普段通りに食べていただいて構いません。ただし、アルコールや刺激物は禁止です。 |
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排泄 | トイレは我慢せずにしてください。ただし、無理に出すのは禁物です。 |
入浴 | シャワー、入浴はともに避けてください。 |
お薬 | 処方されたお薬を決まった時間に内服し、普段飲んでいるお薬があれば、一緒に服用してください。 |
注意事項 | 創部のガーゼをトイレに流さないよう、ご注意ください。排泄後は、新しいガーゼを患部に当てます。 |
Step4手術翌日(第1病日)
来院 | 受診を指示された患者さまは受付時間内にお越しください。(通常は術後1週間目までの間にお越しいただいております。) |
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食事 | 普段通りに食べていただいて構いません。少量のアルコールはOKですが、刺激物は禁止です。 |
排泄 | 排便後はウォシュレットをご使用し、軟膏を塗って、ガーゼを当ててください。 |
入浴 | シャワーはOKです。患部をよく流してください。 |
お薬 | 処方されたお薬をきちんと内服します。 |
注意事項 | 長時間座ったままでいるのは避けてください。 調子を見て、お仕事をはじめて構いません。 |
Step5手術第2病日~
基本的に1週間後までに診察を受けていただき、患部の診察および消毒を行います。
問題があれば、いつでもご来院ください。
食事 | 制限はありません。患部にしみるようでしたら、刺激物は控えます。 |
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排泄 | 排便後はウォシュレットを使い、軟膏とガーゼでケアします。 |
入浴 | 制限はありませんが、長湯は控えてください。 |
お薬 | 処方されたお薬をきちんと内服してください。 |
注意事項 | 長時間座ったままでいるのは避けてください。慣れてくるとつい無理をしてしまいますが、くれぐれもご注意ください。 なお、医師の許可があるまで、運動は不可です。 |